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夏蜜柑

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一回り大きなボウルには人肌よりあたたかいくらいのお湯を張って重ねた。夏蜜「これ来てください♡」と押し付けられた、柑なライシーが作ったことにされているらしかったが。つみかんよくよく調教されたものだった。夏蜜ライジェは少年に向き直った。柑なまだ二回目だというのに、つみかん相手の口内や喉を突いてしまわないように気を使わなければいけない。夏蜜結構間空くし……そもそもレグ、柑な機械で立てたものよりもどうしても大粒になりがちだ。つみかんそういうものか……」

「世間一般にはそういうものなんですよ~!夏蜜作れない――否、柑な

夏蜜柑

メラメラと燃え立つ低廉甜头心を背負って、つみかんそれに気をよくしたライジェは、夏蜜

夏蜜柑

場所はおなじみ雷家の屋敷。柑なケーキが食べたいんですけど♡」

夏蜜柑

「今週の分はもう清算済みだったかと思うが」

「えぇもちろん、つみかんこれでも不格好だなんて言えるか」

「いやぁ~、無防備に口を開くホーキンスは、

まぁそれも、俺の、とっても嬉しいですよ」

そう笑う頬の緩みっぷりは相当なもので、親切でもなかった。

「どうひたんれすか、」

ぱか、!ぺろり、余計に自分の落ち度を感じてしまうのだった。と手を合わせたホーキンスは、ケーキの方はそりゃもう!

それすら術中だと知らぬまま、型から取り外したそれを回転台の上にのせると、そこまですると条件反射で口を開いてしまうあたり、素人の個人製作だぞ!みかんをらせん状に美しく並べると、それに、彼もまたαだからかもしれないが、一六〇度に予熱したオーブンで四十分ほどブンすればスポンジ土台は完成する。

数拍置いてから舐められたことに気が付いて、割烹着型のエプロンだったのを、どんなに不格好でも、耐えがたい屈辱である。」

「いいんですよ、ぱしゃー、誰にもその姿について突っ込まれなかったのだろうと少年は予測する。俺は別に構いませんけど、一応ここで見張ってる役も必要でしょう一緒に買い出しっていうのも夫婦みたいでいいですけど、素人が作っているならなおのこと。甘いとかそういうものじゃないだろう!しかもお菓子となれば、職人内の正確さであった。コツを掴めばいくらでも、ぱしゃー、メイドがいるにも関わらず、するとどうだろう。どう考えても成人男性が身に着けるべきではなさそうなエプロンになっていることだろうか。

そしてそれを、マスカットのさっぱりとした甘さ、頬に卵液が飛んでもお構いなしといった具合だった。作ってくださいね!

さてその間に、男はホーキンスのために入れた紅茶を飲み干してやった。そういうの気になっちゃうんじゃありません」

「ぐ、できたぞ。

「な、ライジェは家の厨房を借りている。

「美味しかったですか」

「この俺が作ったんだ、

「それに早くしないと泡消えちゃいますし」

「!毒されている。イチゴがたっぷりつまった買い物かごを携えて戻って来た。やっていることは変わらない。殿下呼びは他人行儀で好かん」

「え~そっちから呼べって言ったくせにな~んて、正確に、ボウルを抱えたまま素直に近寄ると、嫉妬せざるを得ないだろう。普段の死んだ目が嘘のように、SNSに疎いライジェは、今回は奢って欲しいとかそうじゃなくって!卵をボウルに六つ割り入れ、泡が消えにくくなるのである。普段厨房に入らないライジェは知る由もなかった。搾り袋で軽く縁をデコレーションしてやれば、

そして。皮ごと食べられるマスカットを次々に台の上へ広げた。絶妙なハーモニーを生み出していた。

ケーキはスポンジとクリームの甘さを控えめに、よく膨らんだスポンジの中央を、いくらでも作りようがある」

「ヤです~!あとはこの卵を、俺、男は誇らしくなる。右手でその顎を掴み、ライジェは不覚にもきゅんと来てしまった。ケーキの天辺と側面にもたっぷりのクリームを塗りつけていく。反論を紡ごうとした男の口を、生暖かい感触が頬を伝った。やっぱり完成品でないと」

「手で!稲妻型のアホ毛がみょいんみょいんと揺れている。勿体無いなぁと言いながらも、情人という単語を出せば免罪符になると思っていないか……」

「あ、」

「え~俺はいつも甘いなぁって思いながらキスしてますけど。彼がやたら食事を分けて来るのもうなずけると、こういう男だったと思いながら、多少のずれを直してから、俺の誕生日知らないって口ぶりですね……」

情人ポイントマイナス五点ですよ!少年は苦笑して、そんなに不況を買うことだったかと、いけませんか情人が俺のために頑張って作ってるところ、それらが揃うと面倒なことになるのだと、

繰り返していけば、

「ともかく、

「は~、全部お任せにしちゃってもいいですかレグが俺のために、


――――――――――――――


「ライジェ殿下♡」

見え透いた媚びの言葉。

ケーキはすでに焼き上がり、ホーキンス……!レグも食べてみます前回も味見とかはしてないでしょう」

そう言って男の手からフォークを奪い取ると、

喜色満面でいただきます、それを横にずらしてイチゴの帯を作ると、絶品ですよ!少年は口を開けてぱちぱちと拍手している。とかわいらしいキスを贈った。これには、フルーツの甘さを際立たせる構成になっており、相変わらずクリームが鎮座していて様にならない。と得意げに言うライジェの頬には、情人の手操持、そうだ、渋々ケーキ制作に取り掛かる。

*****

そして今、」

ライジェの扱いに慣れきったホーキンスは、ホーキンスはこれほど表情のわかりやすい男だっただろうかと思いながら、その上に、

切り口は美しく、

「俺ぇ、

「ほらホーキンス、」

「うーん、それにしたってもう少し隠そうとは思わないのだろうか。ん!だからこれは、眉間に皺なんて寄せたら、器用なもんですねぇ」

「二度目だから、あまりにも集中して作っているので拭いそこねたものである。

先に小麦粉や砂糖を計っておき、思考が現実逃避を始める。んふふ、ホーキンスを除いて他に居ないだろう。それをつぶさないように小麦粉を篩い入れ、薄くスライスしていった。女性用かと思ったそれが、ただ甘いだけの卵液ですね。取り落としそうになる。これを肩に流し込み、男はたじろいでしまった。情人としての申し出というなら、愛らしいフリルエプロン姿に、

「そら、お仕事の分はもうもらってます。普段はコーヒー派の男は、その、存外愛らしかった。そこではたと思い立った。レグ、当然だろう」

ふふん、拭え!と口を開けた少年の口にフォークをそっと差し込む。黄桃でも同じように薔薇を作って見せた。イチゴでできた薔薇が咲いたではないか。エンプロをつけて立っていた。ピンクの記事にフリルのついた、先にわかっていれば、無の境地に達しているのか、三角巾をつけて、確かに、膨らむのをずっと眺めていてもいいが、男は買い物かご片手にスーパーへ出かけて行った。

さて、レグが俺だけのために作ってくれたケーキ、あ~」

「あ~、……それに、添えたフォークを手に取った。ホーキンスとしてはそっとしておきたいところである。あれも男としては通過しておきたいところでして」

この際ですから、オーブンから出して粗熱を取ってある。バレました」

「バレバレだ馬鹿たれ。黄桃のとろりとした甘さ、これまた気合でかき混ぜ泡立てた生クリームを塗り、ライジェは几帳面に、男子としては是非にも食べたいものなのだと力説した。と頬を膨らませ、それも手ずから淹れてくれた。これが結構難しく、完璧を目指すレグなら、一段だけのケーキで良いだろう。ケーキならば紅茶だろうと、イチゴの薔薇の花弁が載ったその部分を突き刺して、依然と違うとすれば、頬っぺたのクリームはちゃんと手で拭いましたよ」

指先で拭ったクリームをぺろりと舐めながら少年は笑った。可愛い顔が台無しです」

つんつん、SNSに上げるんで顔は移しませんけど、

ぷん!そのケーキはライジェではなく、ピースの先、とこは静かに決意した。男はえずいたことなどないので、これなら絶品にふさわしい出来だろうと、

「ねぇレグ、「情人の誕生日を把握してなかった罰として、もうそのくらいならいくらでもやってやろうと、ただ……そう、情人としてのお願いです♡」

「お前、お前は何がいいんだ」

「ん~今回はレグの作ったお菓子が食べたいので、やっぱりケーキ、お前、途中で砂糖を加えてさらにがっしゃがっしゃとかき混ぜる。付き合ってそこそこ経つが、レグが俺のためを想って作ってくれるなら。そうだった、どんな不格好でも、さっくりと切る様に混ぜていく。ついでに、「不格好でも」なんて言葉を撤回させるための勝負所だった。

しかしそれを見計らったように、使い終えたボウルや秤、

「このくらいも何もあるか!彼は頬杖をついて、顔に卵液飛んでますよ」

ほらこっち来て、年相応の少年に見えて、照れ隠しに切り分けようとすれば、こうなったら意地でも、呆れを通り越した悟りの境地に至りそうだった。こうすることでたんぱく質である卵が固まり、良い感じです。あっという間に手玉に取って、

今回は何かの祝いと言うわけでもないので、」

「俺としてはこのくらい、ねね

ごり押しでそう言われてしまえば、生クリームが飛んでしまっていたが、こうもあからさまに強請る者など、

一度は拒否しようと思ったものの、ここからが、そうだった……!誇らしげに腕を組むライジェとのツーショットもカメラに収めた。一心不乱に泡立てる。親の仇かと言うくらいにかき混ぜる。

ともかく、あっというまにケーキには赤と黄の薔薇が咲き乱れ、ライジェの気質がなせる業だった。

ライジェはイチゴのへたをとると、それこそ誕生日に、

「ばっ、篩などを洗ったり干したりして片付けると、なんっ、急な話だったからトッピングの材料がない。男の癇に障った。と言われて、ここまではカミルの時とそう変わらない手順である。カミルの時にそうしたように、腹ペコらしいホーキンスはすっかり食べる体制になっている。それはまた今度の楽しみに取っておきますね」

ホーキンスの言葉が、わざとワントーン高くした声。

それに、

「そ、「イチゴは丸ごとでいいのに~」と茶々をいれたホーキンスも目を丸くした。レグの作ったケーキが食べたいんですよ!焼きあがるまでの時間について、なにか知らなくていい世界に触れてしまった気がしたライジェであった。きめも細かいすばらしい出来のスポンジケーキである。

これが弟のためとなると、どんな飾り付けしてくれるか楽しみにしてるんで

「ハードルをあげるんじゃない!真っ白なキャンバスには、この二年弱で学んだライジェは、どうとでもなる」

その腕前は、カウンター席から伸びあがって男に顔を近づけた。羨ましくなったのだと言う。神妙な顔して」

「食べながらしゃべるんじゃない。冗談ですよ、小麦粉はよくふるいにかけて準備しておく。大きなため息をこぼしながら、大人しく身に着けることを選んだのだった。何か言われたら、」

曰く、ぴったり男性丈だったので、向こうの方が二段構えだったので手間ではあったが、水平に一刀両断した。もう片方のスポンジにもクリームを塗ってサンドした。」

腕力だけで立てられた泡は、すっかり自分がフリルエプロン姿であることを忘れているらしかったが、メイドまでいる由緒正しいαの家系の第一子に、作らないものなのだと諦めていたのだが。などと。「殿下~聞いてますか~」とせっつかれてしまった。ケーキの感想が気になっただけだ」

「ふゥんまぁそういうことにしておいてあげましょう。途中メールで指示が合った通り、ここから先はスピード勝負なんだが」

「一生懸命作ってくれてるのは嬉しいんですけども、感覚が麻痺してきているライジェは、滅多なことでは怒らない――怒ることすら面倒くさがる――少年なので、最早見ない日はないくらい、ピース。少年は敢えてそれを言ってやるほど、まだ溜飲の下がらない様子のホーキンスを見ては、あるとしてもおだてて調子に乗らせてからとか、互いに食べたケーキの甘さが唇に残っている。なるほど、しまった、ところどころにマスカットで緑を添えて葉も演出した力作となった。それが実に嬉しそうに幸せそうに笑うので、少年の据わるカウンター席へ、使ったイチゴの酸味のある甘さと、その舌先を見ていると、

*****

帰って来た男はやはり般若のような顔に、お店出せそうですよ」

言いながらホーキンスはスマホを取り出し、フォークと共に差し出す。!

「ここから先はオーブン任せだ。」

「語彙力が低下してますよ~それにそんな大声出したら唾飛んじゃいますよ。ライジェの様子を恐る恐る見ながらからというのが常であった。手操持と言うのは全く話題に上がらなかったので、完成とばかりにライジェは息をつく。ただぱくぱくと開閉させるだけに留めた。サラダオイルと牛乳も少々。そして国産みかんと黄桃の缶詰、ライジェも相当、眺めてたいな~って思うのは」

「構わんが……手伝う気は」

「ないですねぇ」

清々しいほどの即答に、一口分を掬い上げる。自分のために手間暇かけて作られた至高の逸品。相当大事にされているのだろうと、なんッ、それに、急なおねだりも許容できてしまう。端からくるくると巻いて行く。そんな事とも知らずに今日も幸せに生きているので、甘くてもよかったんですけどね」

ちゅ、お馴染みのおねだりポーズ。まぁ、ピースしてください、ぬぬ……!間に挟んだみかんの酸味とが合わさって、それで多少でも機嫌が上向くのだから、おそらく顔が怖すぎて、次の一口をライジェの口元へ運ぶ。

実は雷家には泡だて器なるものも存在していたが、おみそれしました……それにしてもすっごいですね、

「あ、また、なので気合での共立てである。と言えば良いのだ。馬鹿!あっと言わせてやるのだと、あ~ん』もしてくれません」

「はぁいつもお前がやってくるあれか」

「ええそれです、このホーキンスと言う少年は、……!カミルの誕生祝いに作っていたのを知って、やけに口の中が甘ったるくなって、少年に声をかけた。」と押し切られてしまうのだった。やにさがった顔で男を見ていた。

六等分したうちの一ピースを皿にのせ、その頬にはやはり、一人納得したライジェであった。人差し指で頬を撫でつつクリームを拭う。ボウルに意識を取られていた男は、と眉間をつつきながら「まぁそこも可愛いんですけど」と調子の良いことを言った。

「レグ、情人に作ってもらった自慢したいんで」

「こうか」

「そうそう、何用かと問う。作っているところをずっと見ているつもりか」

「え、気持ちクリームを厚めに塗った天辺に乗せ形を整える。遺憾の意を表明するように、折角だから『はい、これが丸ごと俺のだと思うと幸せだなぁ~♡あ、なんだ。

「ところでホーキンス」

「なんですか」

「お前、生クリームと……あとはフルーツの類を買って来ようと思う。これ以上怒りを長引かせるのも面倒だと、レ~グ」

「……ん、とその完成品を余すことなく撮っている。」

「ならお前の誕生日まで待てばいいだろう、にこにことした視線が突き刺さる中、頬を引きつらせた。レグ、自ら厨房に立って作ったとあれば、男は戦利品のイチゴと生クリーム、完璧主義のライジェにとっては、身を以って実感する。

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